令和義塾🛡中高生・高卒生・教員・留学志望者のための学習塾

仕事をしている人が意識する方が良いことや、我が国の在り方の改善策について述べるかも🐈

英語科指導法2🐱

 中学校・高等学校の学習指導要領 (外国語)には、言語の技能を5つに分けて、それぞれについて述べている。今回はそれら5つの領域について、自分が今までに受けてきた中学校・高等学校での授業やその他の教育機関での英語授業・講義について述べていく。自分の場合は、高校卒業後、大学に入るまでの間に英国でELCOS (English Language Course for Overseas Student)に在籍していたので、そこでの学習法について想起し、述べることにする。これらの学習期間に考えた中で、言語活動や教師の資質で最重要といえるものは、学習者に関していえばいわゆる「やる気」であり、授業者の資質に関していえば「学び続ける姿勢」ではないだろうかと思う。前者については、教科書の「中学校編 その4」で生徒たちが住んでいる地域のことについて英語で発信するというものがあった。こうした活動は、学習者自身の興味・関心を引き出しやすく、教材として非常に有用である。後者に関しては、教科書の「高等学校編 その4」において、授業者が日常的に心がけていることが紹介されていた (p234)。このように、良い英語活動は学習者と授業者、双方の姿勢が大切と分かる。これから、詳細について検討する。

 今までに自分が受講した授業・活動と教科書に記載のもので比較をするという点で、思い浮かんだのがプレゼンテーションである。このプレゼンテーションは、中高では行われず、高校卒業後に英国で大学入学前に在籍したELCOSにおいてであった。ELCOSでは自分の専攻予定科目について、興味・関心のあることを自分で設定し、それについて門外漢に英語でプレゼンテーションを行うというものであった。これについては、自分は当初は意欲的に取り組んではいたが、問題点としては「人によって取り扱う内容に難易の差が大きく、人によっては損なのではないか」ということが頭に浮かび、やる気半分という状態にもなったことは付言しておきたい。この活動は5つの領域のうち「読解」「作文」「発表」「会話」に焦点を置いたものであったように思われる。ELCOSのスタッフたちは、私が在籍していた平成14年当時から5つの領域を認識しており、文字・音声という区分で英語を捉えている意識はあまりなかったと記憶している。授業者の指導や教材は、これから学部に入学するものへのものとしては、各自で使用する本を選ぶという点で適切であったといえる。評価に関しては、理科系の学問を専攻した者が評価する側におらず、あまりよいものであったとはいえない。言葉かけの善し悪しに関しては個人差があり、非常に人格的に優れていると思われる方もいれば、学習者にさほど関心がないような人もいた。

 ここでは上記で述べたELCOSにおけるプレゼンテーションまでの準備および発表の時間と教科書に掲載されている内容との比較である。ELCOSにおいてはクラス全体で使用する教科書はなく、コース全体を通して授業者・講義陣が用意する教材や練習問題で構成されていた。ここでのカリキュラムは英語の5つの領域を伸ばす上で役立つことが多いと、在籍当時も認識していた。ただ、指導者が英語のネイティブスピーカーであったため、リスニングへの練習意識がさほど強くなかったように思う。教科書ではプレゼンテーションについては「高等学校編 その3」で述べられていた。この授業例で参考になったのは、「定期考査にもプロジェクト型学習に関する内容を出題する(中嶋洋一. (2017). 『「プロ教師に学ぶ」真のアクティブ・ラーニング』p.229.)」という部分である。この方法は、生徒の主体性育成に役立つといえる。さて、これら2つの授業の相違点は、「クラス全体で使う教科書の有無」である。教科書で解説されていたプレゼンテーションについては、もとの教材が文部科学省検定済教科書である。これが大きな相違点といえる。プロジェクト内容が定期考査にも出題されるという点がある反面、全員が同じ教科書を使用するという点は、「生徒の主体性を育てる」という面に立つと、やや不十分といえるかもしれない。生徒自身が関心を持っている分野について英語で読む方が、生徒の主体性を育てる上で役立つとも考えられる。しかし、「学習内容や課題の難易度の公平性」という視点に立つと、全員が同じ教科書を使用するのはよい方法と言える。各生徒が関心を持つ分野によって、難易度に違いが生じるため、先述の私のように「難しい課題に直面したため、やる気を失う」という状態を避けることができる。教科書に記載のあった授業が取り扱っている内容自体は、上記ELCOSほど内容は高度ではないが、英語の5領域を伸ばす点で有効であり、ELCOSよりも「リスニング」に配慮されていると見受けられた。これは既に高校を卒業しているか否かという差や授業者が英語の母言語話者かそうでないかという違いから生じるものであろう。

 前述までで、英国のELCOSと教科書記載の高校でのプレゼンテーションの相違点について述べてきた。ここでは、教科書の実践例の中から、実際に教師として英語を教えるときに実践するのが望ましい事例を述べる。「小学校編 その2」で述べられていた「身近な防災教育と英語をリンクさせた授業」を中高生向けに応用することが効果的と考える。とかく教科書の内容は「役に立たない」といわれて久しい。確かに生徒が「学校の勉強は役に立たない」というのも、妥当であるとも思われる。ならば逆転の発想として、比較的すぐに役に立つと思われる題材を扱うことも合理的なのではないだろうかと考える。特に我が国は災害が多く、災害に直面したときの事態を予測して、そのときの手順を英語でまとめるなどの手法を使えば、英語に対してのハードルが下がると思われる。また、身近なハードルを想定しての防災教育を発展させて、仮に自分が国内の遠く離れたところや海外などに住んだときに気をつけたいことを英語でプレゼンテーションとして準備・発表させるというのも、実生活に役立つ言語としての英語を体感できるよい機会となるかもしれない。

 以上までで、学習指導要領に記載されている英語の5領域について、今までに自分が受けてきた英語教育及び教科書に記載されている手法との比較、そして教科書記載されている方法で役に立ちそうな方法について考察してきた。教科書は全体として、いわゆる「アウトプットの大切さ」について主張している流れがあった。これは学習指導要領の変遷から見てもそうであるが、かつては文字・音声という区分であったものが、現在は受信・発信という意識で英語教育が提唱されている流れがある。このこと自体に関しては特に異論はない。ただ、アウトプットへの過度の偏重ともいうべき意識を持っている学習者や英語指導者がいるようで、これらに関しては由々しき自体であるとは思う。「中身がなくてもとにかく発信しろ」というのは過激に過ぎるが、こういう風潮が少なからず見受けられる場合もあり、これはあまり望ましいとはいえないのではないか。都内の公立高校で入試に英会話での面接導入で物議を巻き起こしているが、少なくとも入試に関しては、従来型の「リスニング」「読解」「作文」で充分であると思う。中高の授業時間内で「会話」や「発表」の練習をすることは、従来の3領域での入試で用いる能力の育成にもつながる。そして英語力の向上に役立つので、中高の授業ではこれら3領域の育成に重点を置いて指導するのが望ましい。「発表」と「会話」がどうでもいいというわけではないが、これらの比重は前述の3領域より扱いは軽い比重でよいと考えられる。

 

参考文献:

 

中嶋洋一 責任編集. 2017年. 『「プロ教師に学ぶ」真のアクティブ・ラーニング』開隆堂

 

齋藤兆史 著. 2003年.『日本人に一番合った英語学習法』祥伝社

 

柴田曜子 著. 2019年.「英語科指導法の変遷と求められている力』

<https://core.ac.uk/download/pdf/230005239.pdf> (2022年10月2日閲覧)

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